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1970年代、日本のテレビドラマや音楽は、台湾や香港や中国で普通に見られたり聴かれたりしていたのです。「白樺ぁ~」や「メキ~シカン・・」など沢山の日本のヒット曲が広東語や北京語でカヴァーされたり、耐え忍ぶ女性主人公の姿を見て日本女性が全員そうに違いないと勘違いされたり、麦わら帽子が飛んでいく映画の主題歌が大ヒットしたり。海外に対してそれなりに影響力があったのでした。その頃のアジアの人は日本にとても興味があったし日本は憧れの国だった様です。

1990年代に入ると更に多くの日本のヒット曲が中国語でカヴァーされた上に、そのオリジナルが聴かれるようになりました。カヴァーされた曲の原曲を歌うアーティストがアジアツアーをしたり、J-POPのCDの発売タイトル数とセールスが飛躍的に伸びて、ほぼ毎週誰かが台北や香港にプロモーションやイベントで来ていましたね。街には「哈日族」と言われる日本の若者のライフスタイルを追いかける子供たちがたくさん居て。日常生活のどこかで日本が意識されている、そんな時代があったのです。

ただ、21世紀に入るとちょっと様子が変わりました。日本の音楽が外に出て行かなくなりました。アジア各地での発売タイトル数が激減しセールスも落ちました。世界中どこの国でも音楽はフィジカルからオンラインへの過渡期でしたから、それまで海外用ビジネスツールの主流だった「CD」のセールスだけを基準にするとリリースをやめざるを得なかったのかも知れません。現地のレコード会社も契約条件は低くせざるを得ないし宣伝費も掛けられないしアーティストも招聘できない。但し、「哈日族」にとってはJ-POPを楽しむ一つのツールが無くなっただけで、その裏では日本の音楽やポップカルチャーへの根強い支持は引き続き存在していたのも事実です。ただ残念なことに、それからというもの「CDが出ない~情報が無い~アーティストが来ない」などなどが連鎖してJ-POPファンが減るという悪循環に陥ったわけです。

そんなこんなのこの10年間、緩やかにじわじわとかつての日本の立ち位置に取って代わったのは「韓国」。実は韓流ドラマがアジア全域を凌駕する前、90年代後半からK-POPは中華圏に入って来ていたのです。中華圏でのカヴァーの主流もバラード系の日本の曲からポップダンス系の韓国の曲へと変わりました。21世紀になってからのCDマーケットはK-POPにとってもJ-POPにとっても同じハズなのに、どうしてK-POPが根付いたのか?それは、セールスに関わらずCDを出し続け、アーティストが定期的に現地を訪れて、現地の言葉で歌ってローカライズをしてきたから、。国策ともいわれる韓国カルチャーの海外展開には、音楽&ドラマ、CD&DVDといったソフト戦略だけでなく、アーティスト自身の考え方や行動が深く関係していたのです。先日台湾で久しぶりに昔からある音楽雑誌を購入。7年前は「8割日本、1割韓国、1割欧米」の誌面構成が、今や「8割韓国、1割日本、1割欧米」になっていてビックリ!思い知らされました。

さて、昨今香港、台湾、韓国のアーティストはあの広大な中国全土を「狭い!」とすら感じさせる勢いで動き回っています。毎日が飛行機移動。各地で現金払い。そんな事でも中国の景気の良さを感じます。皆中国でCDを出してはいるものの、メインのビジネスはテレビ番組の公開収録、オムニバス形式のコンサートへの出演、広告イメージキャラクター、ソロコンサート、企業イベントへの出演、俳優業などです。今中国や台湾では、CDのセールスや出版収入ではなく、「本人稼働」をキーワードにミュージックエンタテインメントビジネスが回っています。著作権保護の整備にしっかり取り組んでいる中国ですが、将来的にそこから利益を得る前に、今はアーティスト自身が動く事で収益を得ているのです。この数年(株)ボーダレスグローブエンタテインメントとして、中国や台湾でのアーティストブッキングにも携わってきましたが、その間に日本のアーティストに対するニーズが思った以上にあるという事が判りました。中国ではこの10年ちょっとの間、残念ながらちょっとした事をきっかけとして数回の抗日行動が取り上げられる事はありましたが、実は若者の間及び民間レベルでは反日感情が薄れてきている事もひしひしと感じます。昨今では日本のチャートを賑わす常連以外にも様々な日本人アーティストへの出演要請もあるのです。。今では情報が無かった分逆に日本のアーティストに新鮮さを感じるとも言われます。同じ10年間での反日感情の弱まり、中国メディアの軟化や日本への歩み寄りといった中国側の変化もひしひしと感じますが、昨今は音楽のジャンルを問わず様々な日本人アーティストへの出演要請があります。向うからのニーズに対する受動的な対応でなく、こちらから積極的に入っていくマーケットとしても今や中国はとても魅力的なのです。

さて、この度皆様の御理解と御協力を得て(株)ボーダレスグローブエンタテインメントのヴァージョンアップ企業として(株)アソジアを設立致しましたが、それは、誠に僭越な考えではありますが、この10年間のブランクを埋めて、日本の音楽やポップカルチャーがアジアや海外において再び昔の様に受け入れられる日を取り戻したいがためと言っても構いません。
各地に居る20年来の仲間達=Assosiate、と一緒にアジア=Asiaでの日本のアーティストのビジネス展開をサポートするプラットフォーム企業として、「アソジア=Assosia」が皆様のお役にたてれば幸いです。

マーケットはすぐそこにある。出て行くのみ!です!